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高速CNC歯切り盤の概要

ホブ盤とは

 ホブ盤とは、主要な歯切り盤の一種で、ホブ(円筒外周部のねじに沿って切れ刃をもつ回転刃物)をホブ軸に取り付け、歯車仕様に応じてホブ軸とワーク軸に一定の同期した回転運動を与えて創成歯切り加工をし、平歯車、はすば歯車、ウォーム歯車などの歯切りを行なうものです。



開発背景

高精度で安価な歯車のニーズ

 歯車に対するお客様のニーズは多様化しており、高精度化、高耐久性、軽量化、短納期化、低価格化などが挙げられます。最近では特に小型高精度で且つ低価格の歯車を要求されています。そのためには、高速回転で加工できるホブ盤が必要となります。


高速加工できる市販機がない

 現在、市販されている小モジュール用ホブ盤の回転数は、最高2000rpm~3000rpmが一般的です。その理由として、主にホブ軸とワーク軸の同期をとるのにユニバーサルジョイントと歯車の組み合わせで割出機構を形成しているため、次の欠点がありました。

  • ユニバーサルジョイントの性能による回転数の制約あり
  • 歯車伝達機構による回転数の制約などがあり、回転数を上げることができない

加工の段取りに必要な熟練技能と時間

 ホブ軸とワーク軸の同期をとるのにユニバーサルジョイントと歯車の組み合わせで割出機構を形成している場合、段取り替えにおいては、4~6枚のホブ盤歯車の組み合わせを計算し、選定した歯車に交換する作業が必要になります。このため、現状、熟練した作業者が2~3時間かけて段取り替えを行なっており、小ロット受注が増加する中で、大きな生産性の阻害要因になっていました。


新機構の特徴

CNC歯切り盤の概要

 当社では、これらの技術課題に対し、CNC歯切り盤を新規に開発することで解決を進めました。CNCによる電気的な同期制御実現とメカの伝達機構を極力排除することにより、小モジュール歯切り加工の高速化・高精度化を実現した新機構の精密ホブ盤です。その主な特徴を述べます。

  • ホブ軸 超高速10000回転/分(rpm)の切削可能: 現状最大2000~3000rpm
  • JGMA O級の高精度加工が可能: 従来1~2級が限度 (※注1)
  • シングル段取り替え(10分未満の段取り)が可能: 従来2時間以上
  • シンクロンドライブ(テールストック):テールストック側も主軸と同期回転し小径加工ワークのスリップ(同期ずれ)を防止できます。

※ 注1:JGMA O級は、熱処理等を施さない状態です。熱処理を実施した場合、精度が低下します。すなわち、10000rpmの超高速加工と動力伝達機構のシンプル化により、超高精度の歯切加工が可能となったのです。


加工簡易プログラム導入による段取り工数低減


 写真のように機械の前面にプログラム入力ができる操作盤を配置し、最低限の加工条件と製品仕様を簡易入力すれば、短時間での段取り替えが可能になります。熟練技能者も不要になり多様なお客様のニーズに応えることができます。


高精度な歯車加工

 回転数を10000rpmまで上げ、切削スピードを早くすることにより、加工中の歯車に掛かる抵抗が小さくなり、高精度歯車の製作が可能になります。
 且つ切削時間の大幅な短縮により、サイクルタイム短縮を図ることができます。


新たな用途の開拓

 成形歯車や焼結歯車に対し、超高速精密切削で加工した高精度歯車は、伝達効率アップ等による省エネ化や静音化等で十分な優位性と経済効果を発揮できます。またCNC制御によりカサ歯車やクラウニング歯車も加工可能なため、次のような新たな用途の可能性が開けました。

 ・携帯電話 ・デジカメ ・携帯音響機器 ・医療機器 ・ロボット・航空宇宙機器 など